2016年04月10日

日本微生物生態学会の和文誌 表紙が新しくなりました!

3年ぶりに、日本微生物生態学会和文誌の表紙イラストが一新されました。
今回もイラストを担当させていただいております。

微生物生態学会和文誌2016.jpg

研究者と顕微鏡で「観察」という専門性を表現した旧バージョンとはうって変わり、
今回は、研究者と塩基配列&化学構造式で「分析・解析」という専門性を前面に出しました。

中央のブラックボックスから溢れ出るのは、未解明のゲノム領域を含むDNAリボンであったり、
まだまだ知られていないことの多い既存の微生物たち、エチルアルコールやペニシリン、
2015年のノーベル賞受賞で注目を集めたイベルメクチンに代表される、微生物由来の化合物です。
様々な環境で微生物が作り出す有用な天然化合物の発見と、それらの分析・解析を進めることは、
基礎分野の発展を支え、新たな有用菌株や有用化合物の発見、遺伝子工学による菌株の改良や
有用化合物の大量生産といった、医療や産業への貢献にも繋がる大きなテーマでもあります。
そうした未来への可能性を含む『微生物資源に注目した基礎研究』が今回の主題となりました。

また、幹事の先生方からのリクエストにより、「年代を超えて研究する」「若手を育てる」という
メッセージを込めて、男子高校生と中高年の男性研究者を描いています。
前回は「女性」という設定でしたので、今回は安直に2人とも「男性」という設定にしました。

微生物生態学の分野が益々発展しますように、また市民講演会などを通して多くの子ども達に
微生物研究の世界の魅力が少しでも伝われば良いなと願っています。


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2016年01月01日

2015年12月24日

Cell Reportsの表紙イラスト

宮崎大学の西頭先生からご依頼いただいたイラストが
科学雑誌Cell Reports Volume 13, Issue 5の表紙に採用されました。
Cell Reportsの公式サイトにイラストの解説文(英語)があります。

CellRep表紙

それぞれの物質や役割をどう表現しようかな、と思案している時に突然思い出したのが
『蝦蟇の油売り』でおなじみの“和紙を日本刀で細かく切って紙吹雪にする”という、あの芸でした。
まさにプロテアソーム(=タンパク質を分解する酵素複合体)の動作にピッタリ!
というわけで、今回はメインで働く物質をお侍さん風に擬人化しています。

また、もう一つのポイントは折り鶴です。
リボソームによって合成されたばかりのタンパク質の多くは、
それぞれ決まった形に折り畳まれる(=フォールディング)ことで、機能を発揮できるようになります。
多くのタンパク質は、誰の助けも借りず、あるべき形になるよう自発的に折り畳まれますが、
中には(今回の論文にも登場する)シャペロンと呼ばれる、折り畳み係のタンパク質によって
折り畳まれるものもあります。プロテアソームに分解されるタンパク質を『紙』に例えたことで、
シャペロンに折り紙を折ってもらうという設定が、ここで上手いこと可能になりました。
“国際的に有名な折り紙のモチーフ”で“いかにも和風”といえば…鶴に敵うものはありませんよね。

なお、このイラストではちぎり絵風に見せるために、いつも通り墨汁で描いてはいますが、
主線として描いたものの内側を塗りつぶすような感じで、墨汁の線の輪郭だけを使用しました。
いつもとはちょっと雰囲気の違うイラストに仕上げています。


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2015年12月23日

2015年12月18日

私たちの吸う酸素の半分くらいは海で作られている

【お知らせ】 与太話の後半部分に、98年のScienceの論文を追記しました。

ガシラちゃんその1 ガシラちゃんその2
まずはカエル先生へのサービスショットから。

Twitterにて今年読んだ一番好きな論文 Advent Calendar 2015という企画を耳にして
試しに登録をしてみたけれど、肝心のコメントがAdventarに上手く更新されず、
こちらに載せることにしました。

私が選んだのはこちらの論文です。
Hadal biosphere:
Insight into the microbial ecosystem in the deepest ocean on Earth
http://www.pnas.org/cgi/content/long/112/11/E1230

今年JAMSTECから出た
「超深海の微生物生態系ってどうなってるの?堆積物は過去に調べられてるけど、水塊についてはまだだよね?海洋の微生物生態系像も年々大きく変わってきてるし、この際ちゃんと実態を確認したいから、世界で一番深い海から採水して調べてみたよ(超意訳)」
という内容で、本家のプレスリリースでは、日本語で詳しく&分かりやすく解説されています。
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20150224/

ジュニア向けの解説コーナーもあるので、子ども達は是非こちらも読んでみてね。
http://www.jamstec.go.jp/j/kids/press_release/20150224/

原著のFig.2(プレスリリースの図4)を見ているうちに、有光層から深海〜超深海にかけて
どういう微生物集団がどんな役割を担ってどう集団サイズのバランスを取りながら存在するのか、
そこにとても興味を持ったのですが、そもそも私がこの論文を読んだ目的というか動機は
「深所性のシアノバクテリアが実際にどのくらいの水深までいるのか、実測値を知りたかった」
という安直なものでした。

ちなみに深所性シアノバクテリアというのは、皆様ご存じProchlorococcus属で、
ピコプランクトン(picoplankton)と呼ばれる極小サイズのプランクトンに分類されています。
有光層の限界領域(つまり光合成生物が光合成できるギリギリのライン)に優占する種でもあり、
彼らは辛うじて水中に届く青い光を効率良く集めるために、通常のクロロフィルa・bではなく
ジビニル型のクロロフィルa・bを持つことで有名です。
また、地球上で最も個体数の多い光合成生物だと言われています。

調べ物ノート.png

さて、実のところ本当に紹介したかったのは、このブログ記事のタイトルにもありますが
「海洋の一次生産量が陸上の一次生産量に匹敵する」という趣旨の論文でした。
Primary Production of the Biosphere:
Integrating Terrestrial and Oceanic Components
CB. Field et al. Science 10 July 1998: Vol. 281 no. 5374 pp. 237-240
http://www.sciencemag.org/content/281/5374/237.full
実際には、海洋の一次生産量(400-500億t)<陸上の一次生産量(500-600億t)と
陸上の方が多いそうですが、陸上と比べて海洋には一次生産者がバイオマス換算で1/450、
炭素量換算で1/500-600しかいないことを考えると、海の人たちも相当頑張っているわけです。

なんてったって原始地球に酸素をもたらしたのは、ストロマトライトでも有名な、
海で生まれてせっせと酸素発生型光合成に励んだシアノバクテリアなんですよ( ・᷄ὢ・᷅ )
シアノバクテリアを含む植物プランクトン&海藻&海草(←これは種子植物)のおかげで
私たちは今日も美味しく酸素をスーハー消費することができるんですよ( ・᷄ὢ・᷅ )
誰ですか「海の上なら場所が余ってるから洋上発電すれば良いじゃない」とかいう人は( ・᷄ὢ・᷅ )
海は海で一次生産活動に忙しいんですから、寝言は寝てから言ってください( ・᷄ὢ・᷅ )
場所が余ってるとかいうなら、もう砂漠は攻略できたんですか?ねぇどうなんです?( ・᷄ὢ・᷅ )

「海の上なら場所が余ってる」余ってません(_・ω・)_バァン
というやり取りを、一昨年ぐらいに農学部の方と交わしたような記憶があります。

しかし細かい数値まで網羅してある最新の原著なり総説なりを、まだ見つけられていないので、
残念ながら今回はご紹介できず…とりあえず、

ガシラちゃんその3

ガシラちゃんの写真でどうか許して(ゝω・)☆


posted by ucchy at 18:27| Comment(0) | 水中写真(おもに海) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月15日

ふたご座流星群

流星群

今年もふたご座流星群の季節がやってきましたね。
国立天文台によると、活動の極大は12月15日午前3時頃(もうすぐです)だそうで
お天気が良ければ流れ星がたくさん見られるとのこと。
風邪を召されないよう、暖かい服装で真冬の天文ショーをお楽しみ下さい。

色々とお知らせ事項が溜まっておりますので、こちらもまた近々。


posted by ucchy at 00:36| Comment(0) | ひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月05日

【新作】 遺伝子から脳へ、遺伝子から思考へ


omics_image00.jpg

新学術領域「植物細胞壁の情報処理システム」で先生方の研究紹介イラストを
描かせていただいた際に、あえなくボツになってお蔵入りしたラフがありました。
個人的にはとても気に入っていたラフだったので、
バイオイメージング学会の特別展示に出展すると決まった際に
このラフを何とか生かそうと思って描いたのが、この絵です。

「遺伝子発現による形態形成によって脳は生まれるけど、
そこから我々の思考はどう生まれるのか?」というのがこの絵のテーマ。
元ネタは、領域HPの組織&メンバー → A02班:はたらくの大林先生のイラストにある
「有限の遺伝子から無限の思考へ」です。

omics_image01.jpg

この絵をご覧になった方が自由に解釈して下されば良いなと思うので、
具体的に何をどういう意図で描いたのかについてはあまり言及しませんが、
「種子が発芽するという現象」を「遺伝子発現」に喩えることから始まり
「森林形成と生態系の発達」を「脳の形態形成と思考の発達」になぞらえようと
あれこれ考えを巡らせる、とても楽しい作業でした。

omics_image02.jpg

ちなみに白状しておきますと、(自分で描いておきながら)この絵の解釈について
どのくらい現実との辻褄が合っているのか、実は私にもよく分かっていません。← ジロリ
「この解釈では矛盾が出るし、そもそも話の次元が違うし、詰めが甘い」と
このブログ記事を書きながらも実感するところではあります。

とりあえず一旦形にはしたので、これからもっぺんゆっくり考えまーす。


posted by ucchy at 04:27| Comment(0) | イラスト制作記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月02日

日本微生物生態学会 大会および市民講演会ポスター

これまでも公開シンポジウムや和文誌表紙でお世話になっている
日本微生物生態学会様からご依頼いただきました。

今回は茨城県土浦市が会場とのことで、地元の方にも楽しんで頂けるよう
ポスターには土浦の名所・名産をたくさん盛り込みました。
2種類とも賑やかで華やかな見た目のポスターに仕上がりまして、
今日も色々な施設の掲示板で、学会告知に励んでくれることを願っております。

taikai_poster_b.jpg

shimin_koenkai_b.jpg


あら、お気づきになられました?


taikai_poster_b.jpgshimin_koenkai_b.jpg

このポスター、実は2枚並べると背景がつながるんです(ゝω・)☆


posted by ucchy at 03:38| Comment(0) | いろいろオフライン情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

巡回展「植物細胞壁のミクロの世界」、名古屋なう∠( ゚ω゚)/

東北大学植物園を皮切りに始まった巡回展「植物細胞壁のミクロの世界」、
北海道大学総合博物館→東京大学小石川植物園を経て、徐々に南下中でございます。
というか、すでに名古屋大学博物館で次の巡回展が始まっております!!
(この時わたくし植物学会に参加しておりまして、告知を完全に忘れておりました…)
とはいえ、今はまだホワイエでのミニ展示。
今日展示の入れ替えがあり、10月3日からフルバージョンに切り替わります( • ̀ω•́ )✧

名古屋大学博物館にて、9月8日から10月24日まで開催されております。
PDFはこちら→ https://www.plantcellwall.jp/event/pdf/evsche_22.pdf

地下鉄名城線 名古屋大学駅2番出口すぐです。
お近くへお寄りの際は、ぜひ博物館へ足をお運び下さいね!


posted by ucchy at 03:18| Comment(0) | いろいろオフライン情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする