2015年12月24日

Cell Reportsの表紙イラスト

宮崎大学の西頭先生からご依頼いただいたイラストが
科学雑誌Cell Reports Volume 13, Issue 5の表紙に採用されました。
Cell Reportsの公式サイトにイラストの解説文(英語)があります。

CellRep表紙

それぞれの物質や役割をどう表現しようかな、と思案している時に突然思い出したのが
『蝦蟇の油売り』でおなじみの“和紙を日本刀で細かく切って紙吹雪にする”という、あの芸でした。
まさにプロテアソーム(=タンパク質を分解する酵素複合体)の動作にピッタリ!
というわけで、今回はメインで働く物質をお侍さん風に擬人化しています。

また、もう一つのポイントは折り鶴です。
リボソームによって合成されたばかりのタンパク質の多くは、
それぞれ決まった形に折り畳まれる(=フォールディング)ことで、機能を発揮できるようになります。
多くのタンパク質は、誰の助けも借りず、あるべき形になるよう自発的に折り畳まれますが、
中には(今回の論文にも登場する)シャペロンと呼ばれる、折り畳み係のタンパク質によって
折り畳まれるものもあります。プロテアソームに分解されるタンパク質を『紙』に例えたことで、
シャペロンに折り紙を折ってもらうという設定が、ここで上手いこと可能になりました。
“国際的に有名な折り紙のモチーフ”で“いかにも和風”といえば…鶴に敵うものはありませんよね。

なお、このイラストではちぎり絵風に見せるために、いつも通り墨汁で描いてはいますが、
主線として描いたものの内側を塗りつぶすような感じで、墨汁の線の輪郭だけを使用しました。
いつもとはちょっと雰囲気の違うイラストに仕上げています。


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2015年10月02日

『このは No.10 光る生きものはなぜ光る?』挿絵11点

CK7aMmoUsAEQxyD.jpg

7月27日発売、文一総合出版の季刊誌『このは No.10 光る生きものはなぜ光る?』で
光る生き物や人物などのイラストカット11点を担当しました。
美しい発光生物の写真が満載で、眺めているだけでも十分楽しめる一冊ですが、
もちろん内容も盛り沢山!光る生き物も光る仕組みも様々なんだなぁ…と、
担当エリアの原稿を拝読するだけでも、色々と勉強になりました。

CK7aKkIUkAIIxaf.jpg

ご興味を持たれた方は、書店の店頭やネット通販で是非ゲットして下さいね!


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2015年06月01日

【贈り物用イラスト】 She loves sea urchins!!!

細胞図の作成時にいつも色々と相談に乗って下さるお兄さんの奥様から
プレゼント用のイラストをご依頼いただきました。
お贈りになるお相手は留学時のご友人だそうで、ご専門がウニの発生学とのこと。
現在、アメリカの大学でご活躍中の女性研究者です。

ウニは種類も形もさまざまで、デザイン的にすごく面白い生き物ですよね。
殻の模様はとても綺麗だし、模様や棘の形のバリエーションも多様だしという訳で
世のアーティスト達が見逃すはずもなく、既に数多くのウニアートが世に出ています。

そういえば私も、不正形類の殻コレクションを作りました(→ 某私学へ寄贈済み)
Spatangoida

さて、ご専門に研究なさっている方のお手元へ届くのであれば
アートであることに加えて、見た目と科学的な正確さの両立を図らねばなりません。
他の誰ともアイデアが被らないよう、新しい絵を思いつく必要もありますし、
折角のプレゼントですから、とびきり驚いて下さるような仕掛けを合わせて考えます。

まずは、膨大な資料集めと下絵描きからスタートです。

バフンウニの穴の配列.jpg バフンウニの穴の配列2.jpg
card_wrapping

こうして、殻の模様はオリジナルのウニ包装紙とメッセージカードの表紙になりました。
一方、メインのイラストには海洋性のプランクトンを色々と盛り込みます。
海藻をはじめとするベントスも、デフォルメしつつ普段以上に描き込みます。

クモヒトデの幼生 ウニの幼生 ウチワエビの幼生

ウニやクモヒトデの幼生には細く透明な骨格があり、発生段階とともに複雑に成長します。
その骨格の形成される場所と順番がけっこう厳密に決まっているらしいのですが、
あいにく動物学教室の出身でない私には、どの本で調べれば良いのか、見当すらつけられず…(涙
かき集めた原著論文のFig.から、毎夜せっせと骨格の位置や向きを読み取っては
動物学教室出身の先輩サイエンスイラストレーターのお姉さん達にチェックをお願いしたり、
「良い本があるよー」と動物発生段階図譜を教えていただいたりして、とても勉強になりました。

memo2.jpg IMG_1223.JPG IMG_1225.JPG

完成までの約8ヶ月、辛抱強くお待ちいただいている間に十分な試行錯誤ができ、
おかげさまで無事に納得のいくイラストに仕上がりました。
最終的な出力サイズはA2(420×594 mm)です。

She loves sea urchins!!!

ご友人の方の一時帰国に合わせた集まりで、奥様が直接手渡しされた際に
とても喜んで下さったとのこと、本当に嬉しく有り難いことです。
いつか、ご本人からウニの研究のお話を色々とお聞きできるチャンスがやってきますように。


posted by ucchy at 18:26| Comment(0) | イラストのお仕事【科学】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする