みんなだいすき『たくさんのふしぎ』(福音館書店)の2019年6月号がまもなく発売ですが、今回は、超絶技巧による美麗な珪藻プレパラートを作製されているミクロワールドサービス(MWS)の奥 修(おく おさむ)さんの珪藻特集です。
たくさんのふしぎ(福音館書店) https://www.fukuinkan.co.jp/maga/detail_fushigi/
MWSホームページ https://micro.sakura.ne.jp/mws/
MWSの珪藻プレパラートは、観賞用・教育用の標本として、また専門家向けの顕微鏡の性能検査用として絶大な人気があり、Twitter等でしばしば愛用者の方々の美しい解像写真を拝見することができます。2018年1月4日放映のNHK総合『所さん!大変ですよ』でご覧になった方も多いのではないでしょうか。
うちの先生がいち早く入手されていたので、私もご相伴に与りましたが、既刊の珪藻美術館(2015年, 旬報社/絶版)より判型が大きく、とても見応えがあります。特に33ページと34ページ下側の写真は、A2ポスターにして額に入れ、居間や玄関に飾りたい美しさです。身近にこんな繊細で美しい生き物がいるのかと、改めて驚きます。
イラストレーターとして注目するのは、写真の背景である黒の濃さ。著者ご自身の入念な色校正と、美術印刷に強い印刷会社さんの技術力の高さが本当に素晴らしいんです。黒をより黒く表現するのは結構難しく、PC上でいくらデータを処理しようとも出力面での限界があり、実際の出力物としてリッチブラックを手に入れるために、私もしょっちゅう悩んでいます。オフセット印刷の場合、一般的なCMYKの4色印刷機でリッチブラックを刷ろうと思うと、インク総量が多すぎて印刷面がなかなか乾かなくなり、重なりあった紙同士が汚れてしまうので、インク総量400%で入稿しようとすると通常はどこの印刷会社さんにも断られます。枚数が少ないのならば、家庭用/業務用インクジェットプリンター(顔料インク)を使って、インク総量400%のリッチブラックを力技で出すことも出来ますが、ページ数も部数も多い出版物であれほどの濃い黒が綺麗に印刷されているというのは、ひとえに著者と出版社の気合いの賜物です。
それから個人的には、6〜29ページの手法解説が超イチオシです。「どうやってあのプレパラートを作っているの?」という人向けに、作製手順を詳しく紹介されています。透過型電顕をやってらっしゃる人にはお馴染みの、まつげ&まゆげペンも登場しますよ。(卒研の時、ガラスナイフのボートの水面に浮かべた超薄切片を整列させるのに私も使ってました。)
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『珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界』
(たくさんのふしぎ2019年6月号)
奥 修(おく おさむ)/文・写真
発行/福音館書店, 48ページ, 770円(税込)
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