まずはカエル先生へのサービスショットから。
Twitterにて今年読んだ一番好きな論文 Advent Calendar 2015という企画を耳にして
試しに登録をしてみたけれど、肝心のコメントがAdventarに上手く更新されず、
こちらに載せることにしました。
私が選んだのはこちらの論文です。
Hadal biosphere:
Insight into the microbial ecosystem in the deepest ocean on Earth
http://www.pnas.org/cgi/content/long/112/11/E1230
今年JAMSTECから出た
「超深海の微生物生態系ってどうなってるの?堆積物は過去に調べられてるけど、水塊についてはまだだよね?海洋の微生物生態系像も年々大きく変わってきてるし、この際ちゃんと実態を確認したいから、世界で一番深い海から採水して調べてみたよ(超意訳)」
という内容で、本家のプレスリリースでは、日本語で詳しく&分かりやすく解説されています。
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20150224/
ジュニア向けの解説コーナーもあるので、子ども達は是非こちらも読んでみてね。
http://www.jamstec.go.jp/j/kids/press_release/20150224/
原著のFig.2(プレスリリースの図4)を見ているうちに、有光層から深海〜超深海にかけて
どういう微生物集団がどんな役割を担ってどう集団サイズのバランスを取りながら存在するのか、
そこにとても興味を持ったのですが、そもそも私がこの論文を読んだ目的というか動機は
「深所性のシアノバクテリアが実際にどのくらいの水深までいるのか、実測値を知りたかった」
という安直なものでした。
ちなみに深所性シアノバクテリアというのは、皆様ご存じProchlorococcus属で、
ピコプランクトン(picoplankton)と呼ばれる極小サイズのプランクトンに分類されています。
有光層の限界領域(つまり光合成生物が光合成できるギリギリのライン)に優占する種でもあり、
彼らは辛うじて水中に届く青い光を効率良く集めるために、通常のクロロフィルa・bではなく
ジビニル型のクロロフィルa・bを持つことで有名です。
また、地球上で最も個体数の多い光合成生物だと言われています。
さて、実のところ本当に紹介したかったのは、このブログ記事のタイトルにもありますが
「海洋の一次生産量が陸上の一次生産量に匹敵する」という趣旨の論文でした。
Primary Production of the Biosphere:
Integrating Terrestrial and Oceanic Components
CB. Field et al. Science 10 July 1998: Vol. 281 no. 5374 pp. 237-240
http://www.sciencemag.org/content/281/5374/237.full
実際には、海洋の一次生産量(400-500億t)<陸上の一次生産量(500-600億t)と
陸上の方が多いそうですが、陸上と比べて海洋には一次生産者がバイオマス換算で1/450、
炭素量換算で1/500-600しかいないことを考えると、海の人たちも相当頑張っているわけです。
なんてったって原始地球に酸素をもたらしたのは、ストロマトライトでも有名な、
海で生まれてせっせと酸素発生型光合成に励んだシアノバクテリアなんですよ( ・᷄ὢ・᷅ )
シアノバクテリアを含む植物プランクトン&海藻&海草(←これは種子植物)のおかげで
私たちは今日も美味しく酸素をスーハー消費することができるんですよ( ・᷄ὢ・᷅ )
誰ですか「海の上なら場所が余ってるから洋上発電すれば良いじゃない」とかいう人は( ・᷄ὢ・᷅ )
海は海で一次生産活動に忙しいんですから、寝言は寝てから言ってください( ・᷄ὢ・᷅ )
場所が余ってるとかいうなら、もう砂漠は攻略できたんですか?ねぇどうなんです?( ・᷄ὢ・᷅ )
「海の上なら場所が余ってる」余ってません(_・ω・)_バァン
というやり取りを、一昨年ぐらいに農学部の方と交わしたような記憶があります。
しかし細かい数値まで網羅してある最新の原著なり総説なりを、まだ見つけられていないので、
残念ながら今回はご紹介できず…とりあえず、
ガシラちゃんの写真でどうか許して(ゝω・)☆
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