渾身のお仕事をお披露目しますよ!!∠( ゚ω゚)/
セキララかがくの現代化学誌でおなじみ、東京化学同人さんから
生物学辞典につづき2度めの細密画のお仕事を頂戴いたしました。
1988年から続く『科学のとびら』シリーズの最新版です。
http://www.tkd-pbl.com/book/b105874.html
まずは、p.8〜9をご覧いただきましょう。
ちょっと小さすぎて、細部が分かりにくいですね。
拡大してみましょう。
さて、皆様お気づきでしょうか。
世に広く出回っている動物細胞の模式図とは、決定的に違う点があります。
え、ヒント?じゃあ色を着けてみましょう。
ミトコンドリアが長くて分枝しているんです。
教科書に載っている動物細胞の模式図では、たいていミトコンドリアが
ゼリービーンズのような形で描かれていると思います。
ところが生きている動物細胞を蛍光色素で染色し、顕微鏡で観察してみると
実際のミトコンドリアは細長い紐状でところどころが繋がって分枝していたり
常に近くのミトコンドリア同士でくっ付いたり離れたりを繰り返すような、
これまで教科書では見たこともない形や動態を示します。
(※もちろん、細胞の分裂周期によっては断片化して粒々になったりもします。)
NHKでも3年前には既に、長いミトコンドリアの映像が紹介されました。
【サイエンスZERO】
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp281.html
【爆笑問題のニッポンの教養 爆問学問(現・探検バクモン)】
http://www.nhk.or.jp/bakumon/previous/20110118.html
「随分前から“本来の形と違う”ことが分かっているのに
なぜ教科書のミトコンドリアはずっとあの形のままなんだろう?」と
一部の研究者やサイエンス・イラストレーターの方々から
不満に思われていたミトコンドリアを描き直す、絶好のチャンスです。
一度は従来どおりのゼリービーンズ状のラフを描いたものの
再度資料を集め直し、編集さんを説得し、訳者の先生にご納得いただいて
念願の「長く分枝したミトコンドリアのある動物細胞」を
教科書的な入門書に載せていただくことが出来ました。
ミトコンドリア自体描き慣れていないせいもあり、構図の関係で
ちょっと不細工なミトコンドリアになってしまいましたが
その辺りはどうかご容赦ください(涙
ちなみに植物細胞のミトコンドリアは、もともと粒々タイプが多いそうです。
他にも構図上色々と省いたり、資料の探し漏れやどこまで描けば良いかなど
今見直してみると「もっとこうしておけば良かった!」と思うことが多々あります。
特に、フリーズエッチング法で撮影されたゴルジ体のTrans Gilgi Networkの形状が
穴が大きくて分厚い“穴あきお玉(スキンマー)”っぽい形らしいという論文を
今頃になって複数見つけてしまい、ここ数日ペッコリと凹んでいるところです…
ああ、めっさ描き直したい…。
たくさん売れたら第二版や第二刷で差し替えのチャンスがきっとあるはず!!
と目論んでおりますので、是非とも修正のチャンスを頂ければ幸いです。
そんなわけでブログをご覧の皆様、いっぱい買って下さいね( • ̀ω•́ )✧
【ご購入はこちらから】http://www.tkd-pbl.com/book/b105874.html
※上記リンク先にて、Amazonはじめ主要ネット書店が選べます。
この本には、動物細胞・植物細胞の細密画の他に
原核細胞の細密画と細胞運動・精子の鞭毛構造の図も描かせていただきました。
こんなのが我々の体内や体表面に、数えきれないくらい棲んでるんですね…。
膨大な量の資料収集作業の中で貴重な文献をいくつも回して下さった方、
夜中でも相談や議論にみっちりお付き合い下さった方、
些細な疑問やどうしようもない質問にも丁寧に答えて下さった方、
全ての皆様へこの場を借りて御礼申し上げます。
多大なるご協力、本当にありがとうございました!!
もうこれでもかってくらい点々を打ちまくりましたv( ̄Д ̄)v イエーイ